有機溶剤の性質と健康障害

脂溶性・揮発性という共通の性質から、中枢神経抑制などの共通障害と、二硫化炭素・ノルマルヘキサン・メタノールなど物質ごとの特徴的障害までを整理します。

編集・検証: 衛生管理者スタディ編集部 公式情報: 公益財団法人 安全衛生技術試験協会 制作・検証方針

有機溶剤は塗装・洗浄・接着など多くの現場で使われ、それだけ中毒も起こりやすい物質です。共通する性質から入り、代表物質ごとの特徴的な障害へと降りていきましょう。

戸倉 ジャスミン(普段) 戸倉 ジャスミン

先生、有機溶剤って結局なんなの? シンナーみたいなやつ?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

おおむね合っているわ。有機溶剤は、他のものを溶かす有機化合物のこと。
試験で問われる性質は2つ、揮発性と脂溶性ね。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

揮発性が高いので常温でどんどん蒸気になり、呼吸器から吸収されます。
しかも脂溶性なので、皮膚からも吸収されるのが厄介ですね。

雪村 ましろ(びっくり) 雪村 ましろ

あぶらに溶ける…ということは、からだの中の脂っぽいところに行っちゃうの?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

ましろさん、それがまさに核心。
脂質の多い脳や神経に入り込みやすいの。
だから有機溶剤の共通した障害の筆頭が中枢神経の抑制、つまり麻酔作用。
頭痛、めまい、酩酊感、ひどければ意識障害よ。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

補足すると、皮膚・粘膜への刺激による皮膚炎や結膜炎、それに肝障害・腎障害も共通の障害として挙げられます。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

そう。
そしてもう一つ実務的に大事なのが、有機溶剤の蒸気は空気より重いものが多いということ。
床近くやピットの底に溜まるの。
ここは換気設計に直結するわ。

戸倉 ジャスミン(びっくり) 戸倉 ジャスミン

下に溜まるのか…。
ちょっと待って、それって低いところで作業してる人が一番危ないってことじゃん?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

ここは絶対に落とせないところよ。
よく気づいたわね。
さて、ここからが本番。
物質ごとの『特徴的な障害』を対で覚えるの。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

二硫化炭素は精神障害。ノルマルヘキサンは多発性神経炎。メタノールと酢酸メチルは視神経障害。
そしてベンゼンは造血器障害、すなわち白血病です。

雪村 ましろ(しょんぼり) 雪村 ましろ

メタノールで目がわるくなる…なんだか、こわい話です。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

怖い話だからこそ、法律で厳しく規制されているのよ。
この5つの組合せは、そっくり入れ替えた選択肢で出題されるから、必ず声に出して覚えてね。

戸倉 ジャスミン(笑い) 戸倉 ジャスミン

二硫化炭素=精神、ノルマルヘキサン=神経炎、メタノール=目、ベンゼン=血! よし、リズムで覚えた!

確認クイズ

有機溶剤と、その代表的な健康障害との組合せとして、正しいものはどれか。

  1. ノルマルヘキサン ─ 視神経障害
  2. メタノール ─ 多発性神経炎
  3. 二硫化炭素 ─ 精神障害
  4. トルエン ─ 造血器障害 (白血病)
こたえを見る

正解: 3. 二硫化炭素 ─ 精神障害

二硫化炭素は精神障害が特徴。ノルマルヘキサンは多発性神経炎、メタノール(および酢酸メチル)は視神経障害で、選択肢1・2は入れ替わっている。造血器障害(白血病)を起こす代表はベンゼンであり、トルエンではない(選択肢4は誤り)。

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