労働衛生管理統計 — 静態と動態・偽陽性と偽陰性

有所見率と発生率、スクリーニングレベルと偽陽性率・偽陰性率、相関と因果、そして疾病休業統計の式を整理します。

編集・検証: 衛生管理者スタディ編集部 公式情報: 公益財団法人 安全衛生技術試験協会 制作・検証方針

統計は苦手意識を持たれがちですが、問われる論点はごく限られています。静態と動態、偽陽性と偽陰性、相関と因果。この3組です。

戸倉 ジャスミン(うるうる) 戸倉 ジャスミン

統計…あたし、この字を見ただけで眠くなる…

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

大丈夫よ。
覚えるのは3組の対比だけ。
まず1組目。
有所見率と発生率の違いね。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

有所見率は、健康診断のある時点における有所見者の割合です。
これに対し発生率は、一定の期間内に新たに発生した数の割合ですね。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

そう。
前者は静態データ、後者は動態データよ。
写真かビデオか、と思えば区別しやすいわ。

雪村 ましろ(笑顔) 雪村 ましろ

あっ…写真は『その瞬間』、ビデオは『あいだの動き』。
ましろ、それなら忘れません!

香月 リサ 先生(笑顔) 香月 リサ 先生

ふふ、いい比喩ね。
2組目は、スクリーニングの偽陽性と偽陰性よ。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

偽陽性率は本当は健康なのに『異常あり』と出てしまう率、偽陰性率は本当は疾病があるのに『異常なし』と見逃してしまう率です。

戸倉 ジャスミン(普段) 戸倉 ジャスミン

ちょっと待って。
じゃあ、検査の基準を厳しめ…えっと、低めに設定したらどうなるの?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

いい質問。スクリーニングレベルを低く設定すると、ちょっとした異常でも引っかかる。
だから偽陽性率は高くなり、偽陰性率は低くなるわ。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

労働衛生の分野では、見落としを防ぐことを重視して、スクリーニングレベルを低めに設定するのが一般的ですね。
結果として偽陽性率が高くなります。

戸倉 ジャスミン(笑い) 戸倉 ジャスミン

なるほど! 疑わしきは引っかけとけ、と。
取りこぼすより、二度見するほうがマシってことか。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

その理解でいいわ。
3組目は、相関と因果。
2つの事象の間に相関関係があっても、因果関係があるとは限らない。
ここは断言できるようにしてね。

雪村 ましろ(普段) 雪村 ましろ

…アイスの売れる日と、水の事故が多い日が、いっしょに増えても…アイスのせいじゃない、みたいな?

深見 つむぎ(びっくり) 深見 つむぎ

…ましろ、それ完璧な例です。
両方とも『暑さ』という別の要因で動いているだけ、ですね。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

見事よ。
あとは疾病休業統計ね。
疾病休業日数率は、疾病休業延べ日数を在籍労働者の延べ所定労働日数で割って100を掛ける。
病休度数率は、疾病休業件数を在籍労働者の延べ実労働時間数で割って100万を掛けるわ。

戸倉 ジャスミン(普段) 戸倉 ジャスミン

うぅ…最後にちゃんと数式来た…でも、日数率は『日数÷日数』、度数率は『件数÷時間』ってことね。
よし、いける!

確認クイズ

労働衛生管理統計に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 有所見率は、一定期間に新たに有所見となった者の割合であり、動態データである
  2. 健康診断のスクリーニングレベルを低く設定すると、偽陽性率は低くなり、偽陰性率は高くなる
  3. 有所見率はある時点の有所見者の割合であり、静態データである
  4. 二つの事象の間に相関関係が認められれば、因果関係があると判断してよい
こたえを見る

正解: 3. 有所見率はある時点の有所見者の割合であり、静態データである

有所見率はある時点の割合で静態データが正しい。一定期間に新たに発生した割合は発生率(動態データ)(選択肢1は誤り)。スクリーニングレベルを低く設定すると偽陽性率は高く、偽陰性率は低くなる(選択肢2は誤り)。相関があっても因果関係があるとは限らない(選択肢4は誤り)。

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