異常気圧による健康障害 (減圧症・酸素中毒・窒素酔い・空気塞栓)

減圧症の犯人は窒素であって酸素ではない。炭酸飲料の比喩で機序をつかみ、窒素酔い・酸素中毒・空気塞栓まで押さえます。

編集・検証: 衛生管理者スタディ編集部 公式情報: 公益財団法人 安全衛生技術試験協会 制作・検証方針

潜水業務や高圧室内業務では、気圧そのものが有害因子になります。鍵になるのは「窒素」。減圧症も窒素酔いも、犯人は同じ気体です。

雪村 ましろ(びっくり) 雪村 ましろ

先生、水にもぐるお仕事も、有害業務なんですか?

香月 リサ 先生(笑顔) 香月 リサ 先生

そうよ。
潜水業務や高圧室内業務は、気圧が体に悪さをするの。
ここは物語として理解すると一気に楽になるわ。

戸倉 ジャスミン(普段) 戸倉 ジャスミン

物語?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

ええ。
高い圧力の下にいると、空気中の窒素が血液や組織にどんどん溶け込んでいくの。
炭酸のペットボトルを想像して。
圧がかかっているうちは、気体は液体に溶けたまま静かにしているわね。

雪村 ましろ(びっくり) 雪村 ましろ

…あっ。
ふたを、いきおいよく開けたら?

香月 リサ 先生(笑顔) 香月 リサ 先生

ぷしゅっと泡が出るでしょう。
それが体の中で起こるのが減圧症よ。
ましろさん、みごとな連想ね。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

減圧症ですね。
皮膚のかゆみ、関節痛、重症では神経症状が現れます。

戸倉 ジャスミン(びっくり) 戸倉 ジャスミン

ちょっと待って。
泡になるのは酸素じゃなくて窒素なの?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

そこ! 一番狙われるポイントよ。
犯人は窒素。
酸素は体が消費してしまうけれど、窒素は使い道がないから溶けたまま溜まるの。
『酸素が気泡化する』という選択肢は誤りよ。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

同じ窒素が別の悪さもします。
高圧下では窒素に麻酔作用があり、酩酊したような状態になる窒素酔いです。

雪村 ましろ(しょんぼり) 雪村 ましろ

お酒に酔ったみたいになるの…? 水の中で判断力がにぶるのは、とても危ないと思います。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

命に直結するわ。
さらに酸素中毒もあるの。
酸素も、分圧が高すぎれば毒になるのよ。

戸倉 ジャスミン(びっくり) 戸倉 ジャスミン

えーっ! 酸素って、いいやつじゃなかったの!?

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

量が過ぎれば毒になる。
これは多くの物質に共通する原則ですね。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

最後に空気塞栓。
浮上のときに息を止めていると、膨張した空気で肺胞が破れて、空気が血管に入ってしまうの。
だから浮上時は息をこらえてはいけない。

確認クイズ

異常気圧下における業務による健康障害に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. 減圧症は、高圧下で体内に溶け込んだ酸素が、減圧時に気泡となることにより生じる。
  2. 減圧症は、高圧下で血液や組織に溶け込んだ窒素が、減圧に伴い気泡となって血管を閉塞すること等により発生する。
  3. 窒素酔いは、低圧の環境下で体内の窒素が不足することにより生じる。
  4. 酸素中毒は、吸入する酸素の分圧が低いときに生じる。
こたえを見る

正解: 2. 減圧症は、高圧下で血液や組織に溶け込んだ窒素が、減圧に伴い気泡となって血管を閉塞すること等により発生する。

減圧症の原因は窒素の気泡化。高圧下で血液・組織に溶け込んだ窒素が、急激な減圧で気泡となり血管を閉塞する。酸素は体内で消費されるため原因にならない(選択肢1は誤り)。窒素酔いは高圧下での窒素の麻酔作用による(選択肢3は誤り)。酸素中毒は酸素分圧が高いときに生じる(選択肢4は誤り)。

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