潜水業務や高圧室内業務では、気圧そのものが有害因子になります。鍵になるのは「窒素」。減圧症も窒素酔いも、犯人は同じ気体です。
先生、水にもぐるお仕事も、有害業務なんですか?
そうよ。
潜水業務や高圧室内業務は、気圧が体に悪さをするの。
ここは物語として理解すると一気に楽になるわ。
物語?
ええ。
高い圧力の下にいると、空気中の窒素が血液や組織にどんどん溶け込んでいくの。
炭酸のペットボトルを想像して。
圧がかかっているうちは、気体は液体に溶けたまま静かにしているわね。
…あっ。
ふたを、いきおいよく開けたら?
ぷしゅっと泡が出るでしょう。
それが体の中で起こるのが減圧症よ。
ましろさん、みごとな連想ね。
減圧症ですね。
皮膚のかゆみ、関節痛、重症では神経症状が現れます。
ちょっと待って。
泡になるのは酸素じゃなくて窒素なの?
そこ! 一番狙われるポイントよ。
犯人は窒素。
酸素は体が消費してしまうけれど、窒素は使い道がないから溶けたまま溜まるの。
『酸素が気泡化する』という選択肢は誤りよ。
同じ窒素が別の悪さもします。
高圧下では窒素に麻酔作用があり、酩酊したような状態になる窒素酔いです。
お酒に酔ったみたいになるの…? 水の中で判断力がにぶるのは、とても危ないと思います。
命に直結するわ。
さらに酸素中毒もあるの。
酸素も、分圧が高すぎれば毒になるのよ。
えーっ! 酸素って、いいやつじゃなかったの!?
量が過ぎれば毒になる。
これは多くの物質に共通する原則ですね。
最後に空気塞栓。
浮上のときに息を止めていると、膨張した空気で肺胞が破れて、空気が血管に入ってしまうの。
だから浮上時は息をこらえてはいけない。
確認クイズ
異常気圧下における業務による健康障害に関する記述として、正しいものはどれか。
- 減圧症は、高圧下で体内に溶け込んだ酸素が、減圧時に気泡となることにより生じる。
- 減圧症は、高圧下で血液や組織に溶け込んだ窒素が、減圧に伴い気泡となって血管を閉塞すること等により発生する。
- 窒素酔いは、低圧の環境下で体内の窒素が不足することにより生じる。
- 酸素中毒は、吸入する酸素の分圧が低いときに生じる。
こたえを見る
正解: 2. 減圧症は、高圧下で血液や組織に溶け込んだ窒素が、減圧に伴い気泡となって血管を閉塞すること等により発生する。
減圧症の原因は窒素の気泡化。高圧下で血液・組織に溶け込んだ窒素が、急激な減圧で気泡となり血管を閉塞する。酸素は体内で消費されるため原因にならない(選択肢1は誤り)。窒素酔いは高圧下での窒素の麻酔作用による(選択肢3は誤り)。酸素中毒は酸素分圧が高いときに生じる(選択肢4は誤り)。